Tokyogasgroup csr report

バイオマスの有効活用

当社は、温室効果ガス排出削減のために、バイオマスを活用した技術開発に取り組んでいます。
バイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)を表す概念で、エネルギーや物質へ再生可能な動植物から生まれた化石資源を除く有機性資源(注)の総称です。バイオマスは燃焼などによりCO2が放出されますが、生物の成長過程で光合成により大気中からCO2を吸収するため、CO2の排出と吸収がプラスマイナスゼロとなります。これがバイオマスを利用する最大のメリットです。
様々なエネルギーとしてバイオマスを活用することが可能で、直接燃焼して発生させた蒸気から熱や電力を得たり、発酵させたガス(バイオガス)を、ガスコージェネレーションシステム(以下、コージェネ)で利用したりするなどの方法があります。
当社では、これまで培った都市ガスとバイオガスの混焼におけるバイオガス利用技術に加え、食品残渣などをさらに安価で高効率にメタン発酵しバイオガスを取り出す技術や、発生したバイオガスをさらに高い品質のガスに変換する技術に取り組むことで、バイオマスの利用拡大や普及を目指しています。
(注)稲わら、家畜排せつ物などの農林水産物、食品残渣、下水汚泥、木くずなど

バイオガス利用技術の開発

当社グループは、食品残渣や下水汚泥などのバイオマスをガス化し、発電やボイラ燃料として利用する技術を保有し、お客さまのサイト内で発生したバイオガスを主にコージェネの発電用ガスとして利用(オンサイト利用)しています。バイオガスはCH4(メタン)約60%、CO2約40%で構成される希薄な燃料であるため、専用の発電機が必要です。また、バイオガスを精製、熱量調整、付臭して都市ガス導管に受け入れる取り組みを日本で初めて行っており、2017年度は、食品残渣由来のバイオガスを48.5万m3(約827tのCO2削減相当)受け入れています。

バイオガスの導管受け入れに関するイメージ図

バイオガスの導管受け入れに関するイメージ図

そのほか、2013年度から横浜市北部下水道センターで発生する下水バイオガスのさらなる有効利用拡大に向けた横浜市との共同研究を行っています。研究では横浜市北部汚泥資源化センターに設置したバイオガス精製試験装置において、分離膜を使用して下水バイオガス中のCO2を除去し、メタンを濃縮する技術を開発しています。
 
横浜市北部汚泥資源化センターに設置したバイオガス精製試験装置
横浜市北部汚泥資源化センターに設置したバイオガス精製試験装置
 
株式会社ディ・エフ・エフ, 東京ガス CSR室, 東京ガス 総務部, 東京ガス 総合企画部, 東京ガス 資源・海外本部, 東京ガス エネルギー生産本部, 東京ガス 電力事業計画部, 東京ガス 導管NW本部, 東京ガス IT本部, 東京ガス リビング本部, 東京ガス 基盤技術部, 東京ガス エネソル本部, 東京ガス 環境部, 東京ガス 資材部, 東京ガス 人事部(安全健康福利室), 東京ガス 人事部, 東京ガス 監査部, 東京ガス 監査役室, 東京ガス コンプライアンス部, 東京ガス 地域本部, 東京ガス 財務部, TGES, 東京ガスコミュニケーションズ

水素供給の基盤確立

水素ステーションの建設・運営

当社では、利用時にCO2を排出しない水素エネルギーを活用した水素社会の実現に向けて、輸送分野の低炭素化を実現するために燃料電池自動車(以下、FCV)の普及に向けて、水素ステーションの建設・運営を行い、水素供給の基盤整備に貢献しています。FCVは、走行距離に対するCO2の排出量が電気自動車と遜色がなく環境負荷の低減が可能です。
日本におけるエネルギー自給率は、2016年時点で8.4%(注1)と、世界的に低い水準であり、電力発電のエネルギー源を海外から輸入する化石燃料に依存していることから国際情勢の影響を受けやすい状況です。さらに化石燃料は、燃焼時のCO2を多く排出するため、エネルギー供給源の多様化が求められています。日本における施策では、2030年までに約80万台のFSVの普及および約900カ所の水素ステーションの自立化が目標とされており、2018年1月末現在で、FCVの普及台数は約2,400台、水素ステーション数は101カ所です。
2018年2月には、水素ステーション整備の加速を目的に、11社(注2)の協業で「日本水素ステーションネットワーク合同会社(以下、JHyM)」を設立しました。JHyMは、インフラ事業者、自動車会社、金融投資家等の連携による世界初の取り組みで、戦略的な水素ステーションの整備、ならびに、水素ステーションの効率的な運営に取り組むことで、FCVユーザーの利便性向上を図り、FCV台数の増加、水素ステーション事業の自立化、更なる水素ステーションの整備という「FCVと水素ステーションの好循環」の創出を目指しています。当社はインフラ事業者として、水素ステーションをJHyMと共同で整備し、建設した水素ステーションの運営を実施します。
今後も、持続可能な水素社会の実現に向けて、他社との連携を通じた取り組みを進めていきます。
(注1)出典 資源エネルギー庁資料
(注2)自動車メーカー3社(トヨタ自動車(株)、日産自動車(株)、本田技研工業(株))、インフラ事業者6社(JXTGエネルギー(株)、出光興産(株)、岩谷産業(株)、東京ガス(株)、東邦ガス(株)、日本エア・リキード(株))、金融投資家等2社(豊田通商(株)、(株)日本政策投資銀行)の11社(JHyM設立時)


日本水素ステーションネットワーク合同会社設立
日本水素ステーションネットワーク合同会社設立
 
水素ステーションの建設・運営のあゆみ
時期 概要 水素供給方式(注3)
2003年5月 実証・研究開発事業として「千住水素ステーション」を開所 オンサイト方式
2010年12月 実証・研究開発事業として「羽田水素ステーション」を開所
(日本初の天然ガススタンド併設型の水素ステーション)(~2015年まで)
オンサイト方式
2014年12月 関東初の商用ステーションとして「練馬水素ステーション」を開所 オフサイト方式
2016年1月 「千住水素ステーション」を商用の水素ステーションに転用、開所 オンサイト方式
2016年2月 「浦和水素ステーション」の営業を開始 オンサイト方式
2018年2月 他社と連携し、水素ステーション整備推進を目的とする
「日本水素ステーションネットワーク合同会社」を設立
 
 (注3)水素ステーションにおける水素供給方式は、大きく分けて、その場で水素を製造(都市ガスから改変)するオンサイト方式と他所から水素を運んでくるオフサイト方式があります。
 
  • 練馬水素ステーション練馬水素ステーション
  • 千住水素ステーション千住水素ステーション
  • 浦和水素ステーション浦和水素ステーション
都市ガスから水素を供給するまで(オンサイト方式の水素ステーション)
東京ガスではCO2の排出量が少なく環境負荷の低い都市ガスの特性を活かして、都市ガスから改質する方法で水素を製造しています。

オンサイト方式による水素の製造プロセス
オンサイト方式による水素の製造プロセス
(注)FCVの水素充填時、車載タンクの温度上昇を防ぐため、水素を冷却する装置 

水素関連技術の開発

当社は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)事業である「水素利用技術研究開発事業」(2013〜2017年度)に参加し、燃料電池自動車用燃料水素を供給する水素ステーションの研究開発に取り組んでいました。この研究開発事業は、次期NEDO事業でも継承される予定であり、引き続き当社も燃料電池自動車へ充填する燃料水素の品質管理手法の検討、水素充填量の測定精度の評価、乗用車以外の燃料電池バスや二輪車への充填方法の検討やこれらの方法に関する業界ガイドラインの策定、国際規格への反映などに取り組んでまいります。また商用ステーションの効率的な運用方法の確立やメンテナンスコストの削減を目指した検討も進めています。
株式会社ディ・エフ・エフ, 東京ガス CSR室, 東京ガス 総務部, 東京ガス 総合企画部, 東京ガス 資源・海外本部, 東京ガス エネルギー生産本部, 東京ガス 電力事業計画部, 東京ガス 導管NW本部, 東京ガス IT本部, 東京ガス リビング本部, 東京ガス 基盤技術部, 東京ガス エネソル本部, 東京ガス 環境部, 東京ガス 資材部, 東京ガス 人事部(安全健康福利室), 東京ガス 人事部, 東京ガス 監査部, 東京ガス 監査役室, 東京ガス コンプライアンス部, 東京ガス 地域本部, 東京ガス 財務部, TGES, 東京ガスコミュニケーションズ

ガスコージェネレーションシステムの技術革新

発電効率・総合効率の向上

ガスエンジンの発電効率は、ミラーサイクル方式(注1)や気筒ごとの精緻な燃焼制御などによる技術開発の成果により、5,000kW以上の大型のものでは50%に迫る効率を実現しており、300〜1,000kWの中規模のものでも40%を超えるものが主流になるなど、従来に比べて大幅に向上しています。
2014年度に市場投入した、定格出力1,000kWクラスのガスコージェネレーションシステム(以下、コージェネ)「GS16R2」においては、さらなる性能向上開発により、クラス最高の発電効率42.5%、総合効率80.1%を実現した改良型を、2017年4月から発売し、販売台数を伸ばしています。
コージェネは環境性・省エネ性・BCPの観点から、お客さまからの期待が高まっており、経済性やエネルギーセキュリテイが向上することで広く普及することが見込まれています。将来的には高温作動型の固体酸化物形燃料電池(SOFC)を用いることでさらに高効率なコージェネの実現が期待されています。
東京ガス千住テクノステーションにおいて、数kW~数百kWクラスの業務用SOFCの実証試験を各メーカーと推進しています。さらに、さまざまな業態の施設に設置することにより、実際の運用における耐久性や省エネ・省CO2の効果について評価を進め、全ての物件で省エネ性を確認し、2017年6月に3kW級業務用SOFC(発動効率52.0%、総合効率90.0%)を商品化しました。
(注1)シリンダーの圧縮比と膨張比が等しい通常サイクル(オットーサイクル)に対して、バルブのカム形状を工夫することで膨張比の方が圧縮比より大きくなるようバルブが閉じるタイミングをずらした、熱効率の改善を狙いとしたしくみ

ガスコージェネレーションシステムの発電効率
ガスコージェネレーションシステムの発電効率
  
Topic
荒川区公共施設における「5kW級業務用燃料電池実証試験」を実施

2018年3月現在に東京都荒川区の荒川総合スポーツセンターに5kW級業務用燃料電池を設置し、実証試験を実施しています。本実証試験は、当社と荒川区が2015年末締結した「5kW級業務用燃料電池実証試験に関する協定」に基づき行われるもので、公共施設における5kW級燃料電池の実証試験は全国で初めての取り組みとなります。
業務用SOFCが発電した電気は、同センター1階フロアの照明に、廃熱はロッカー室のシャワー用温水の一部に使用されます。なお、実証試験の期間中は、業務用SOFCから生み出された電気の発電量を表示するモニターや温水に触れられるお湯の体験コーナーを設置し、低炭素社会の実現に貢献する燃料電池への理解を深める場として活用されます。

5kW級業務用燃料電池実証機の説明

5kW級業務用燃料電池実証機の説明
 
Topic
世界で初・5kW級の小出力において発電効率65%相当を実証

高い発電効率を特徴とする固体酸化物形燃料電池(SOFC)の発電効率をさらに向上させる技術を開発し、5kW級の出力規模のホットボックスにおいて発電効率65%LHV相当(注2)を、5kW級の燃料電池として世界で初めて実証しました。
この高効率化技術は、投入した燃料をより多く発電に利用するためのSOFCスタックの二段化技術と燃料再生技術の2つの技術(下図)と、少ない未利用燃料において熱自立する技術の、計3つの技術を組み合わせることにより、その効果を実証しました。
本技術をベースに、プロトタイプ開発に向けて研究開発をさらに進め、環境負荷の少ない都市ガスの高度利用を通じた低炭素社会の実現に貢献していきます。
(注2) 発電システムとして構成した場合に、燃料電池を動作させるためのエネルギーを差し引いた、顧客が利用できる交流送電端ベースの発電効率。補機損を6%, DC-ACインバーター損失を5%と想定。

ホットボックスの外観写真

ホットボックスの外観写真
投入した燃料をより多く発電に利用する技術の模式図投入した燃料をより多く発電に利用する技術の模式図
出典:東京ガス株式会社
 
Topic
80%を超える“超高効率発電”に向けて
〜燃料電池の効率を飛躍的に高める革新技術の理論設計に成功〜

九州大学次世代燃料電池産学連携研究センター(NEXT-FC)との共同研究で、高効率発電を特長とする固体酸化物形燃料電池(SOFC)の発電効率をさらに飛躍的に向上させる革新技術の理論設計に成功し、発電効率として80%LHVを超える“超高効率”が発現することをそのメカニズムとともに世界で初めて示すことに成功しました。本成果は、2015年7月に科学誌Nature姉妹紙のオンラインジャーナル『Scientific Reports』で公開されました。
このような超高効率で行われる化石燃料から電力へのエネルギー変換は、CO2の排出削減に大きく貢献し、環境性の高いスマートエネルギー社会実現に向けた基幹エネルギー技術として期待されます。また、“超高効率発電”では、発電時に発生する排熱が少ないため、熱の利用を必ずしも前提とする必要性がなく、市場適用性の極めて高い分散発電技術になると考えられます。
 

革新技術と発電効率向上のイメージ図
革新技術と発電効率向上のイメージ図
 
株式会社ディ・エフ・エフ, 東京ガス CSR室, 東京ガス 総務部, 東京ガス 総合企画部, 東京ガス 資源・海外本部, 東京ガス エネルギー生産本部, 東京ガス 電力事業計画部, 東京ガス 導管NW本部, 東京ガス IT本部, 東京ガス リビング本部, 東京ガス 基盤技術部, 東京ガス エネソル本部, 東京ガス 環境部, 東京ガス 資材部, 東京ガス 人事部(安全健康福利室), 東京ガス 人事部, 東京ガス 監査部, 東京ガス 監査役室, 東京ガス コンプライアンス部, 東京ガス 地域本部, 東京ガス 財務部, TGES, 東京ガスコミュニケーションズ

イノベーションによる低炭素社会実現への貢献

当社は、従来より省エネルギー・省CO₂のための技術開発に取り組んできましたが、今後、さらなる低炭素社会を実現するためには、当社グループの技術にとらわれず、世界中のあらゆる革新的なアイディアや技術を取り込む必要があるため、オープンイノベーション型の研究開発を推進しています。2017年度には米国に専門子会社2社(アカリオ・インベストメント・ワン社、アカリオ・イノベーション社)を設立すると共に、エネルギー技術専門のベンチャーキャピタルやベンチャー企業への出資を開始しました。今後、ベンチャー企業など、革新的ビジネスモデルを有する企業との協業を強化し、低炭素化への要請に応えていきます。

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